五色百人一首とは

五色百人一首（ごしょくひゃくにんいっしゅ）は小倉百人一首（以下、百人一首と表記）を20枚ずつ5色「青・桃・黄・緑・橙」の札に色分けした教材です。

札が20枚のため、一試合を約3分間で行うことができるので、授業の隙間時間でも有効に活用することができます。また、20枚ずつ無理なく覚えることができます。

小学生でも熱中するゲームです。

教室で子ども2人が机を合わせて試合をすることができ、教室の人数に合わせて4人でも行うことができます。

毎日の試合を通して、子どもたちには自然と「ルール」が身につき、楽しく仲よく遊べます。

五色百人一首の歴史

「五色百人一首」は、小学校教員だった向山洋一氏（TOSS最高顧問/日本教育技術学会名誉顧問）によって命名・広められた教材です。日本の伝統文化に親しみながら、学級づくりにも役立つ教材として、発売以来、全国で30万人以上の先生、300万人以上の子どもたちに「五色百人一首」の楽しさを体験していただいています。

百人一首は、これまでも多くの家庭でお正月の遊びとして行われてきました。しかし、一試合に30分近くかかることや、100枚を覚えるのが大変であること、得意な子と苦手な子の差が出やすいことなどから、学校の授業で取り組むことは困難でした。

小学生の頃から百人一首に慣れ親しんできた向山氏は、1968年に教員になり、百人一首を広めるための工夫や取り組みを続けてきました。
「机を給食のときのように並べて4人で源平合戦を行う」「強い方から、Aリーグ、Bリーグと命名する」「源平合戦で、一試合して一番勝った子が上のリーグに上がり、一番負けた子が下がる」というやり方です。この方法の優れている点は、トーナメント式とは違い、負けた子も勝った子と同じように2回目も3回目も試合ができることです。また、何試合か繰り返すと、実力が近い者同士で対戦することになり、得意な子も苦手な子も同じように楽しむことができます。
これらの方法を全国の教室で実施されるように向山氏は活動を続け、後に「向山式百人一首システム」と呼ばれるようになります。

1989年、向山氏は小島光雄氏から百人一首を20枚ずつ5組に分ける方法を知ります。20枚なので、低学年でも一試合が5分あれば終わります。しかも、取り札の裏に上の句を書くことで、試合中の隙間時間に覚えることができました。
翌年、向山氏はそれをさらに改良し、20枚ずつ5色の札に色分けし、取り札の裏に上の句を印刷した教材「五色百人一首」を商品化しました。さらに、向山氏は、教室の机を2つずつ向かい合わせにして、2人で源平合戦をして、勝てば上のリーグに上がり、負けた子は下がる「向山式百人一首システム」を五色百人一首に採り入れました。そして、どの子もより熱中するように「札を読むごとに一つ一つ取り方のルールを教える」「子どもが熱中する読み方」なども追加しました。

このように、「工夫された札」と「それを活用するシステム」の運命的な出会いにより、「試合時間が長い」「100枚も覚えるのが大変」「苦手な子が楽しめない」という教室で百人一首に取り組む際の欠点のほとんどが解消されたのです。

「五色百人一首」は、日本の伝統文化に触れつつ、「学級の仲がよくなる」「ルールを守るようになる」「負けを認めることができるようになる」など、学級づくりにも役立つ優れた教材として、小・中学校で広く普及してまいりました。毎年、全国各地で「五色百人一首大会」が開催され、五色総合や色札別のチャンピオンが次々に誕生しています。なお、五色の色分けについては、低学年の子どもたちも楽しめるように、青札と黄札には、人気のある歌や覚えやすい歌が多く含まれるようになっています。